1995年(平成7年)1月17日未明、阪神淡路を襲った直下型大地震は戦後最大の被害をもたらし、過密都市における災害の恐ろしさを改めて見せつけました。中でも事態を深刻化させたのは、都市生活を支える電気、水道、都市ガスなどいわゆるライフラインの脆弱さでした。
電気はいち早く回復したものの。都市ガスは配管網が寸断され、一万人近い関係者の懸命の努力にもかかわらず復旧には3ヶ月を要しました。そのため、被災者の日常生活に重大な支障をきたし、数十万の被災家庭や病院・避難所において調理や入浴、暖房などができないなど、導管による集中供給方式の弱点が浮き彫りにされました。
その一方で、電気に続き、LPガスは実質的10日間という短期間で復旧。LPガスを原料にしている簡易ガスも、当初は約1,700戸が供給停止となったものの、倒壊家屋を除き1月24日までには復旧し、災害時における住民のクオリティ オブ ライフ におけるLPガスの有用性が注目を浴びることとなりました。
この阪神淡路大震災で、予想以上に被害を大きくした原因は火災でした。地震発生から10日間に神戸市内では175件の火災が発生しましたが、原因が特定できた81件のうち(下図参照)、約6割が電気の漏電やショート、都市ガスの漏洩が原因の二次災害であると判明しました。一方、LPガスを原因とする火災はわずかに1件でした。その理由として、LPガスが容器の元栓を閉止すれば、ほとんど二次災害を防ぐことが可能であるという点が挙げられました。 |